セメントに水を混ぜて練った後に乾燥させると硬く固まるのは常識ですが、一体なぜ固まるのかという素朴な疑問が沸いたことはありませんか?
実は、未だにセメントが固まる理由を明確に解明できていないそうです。とは言っても、セメントに水を混ぜると固まる基本的な理由はもちろんわかっています。
セメントはなぜ固まる?
セメントに水を混ぜると固まる理由は、セメントを構成する物質が水と化学反応を起こし、新しい化合物(針状結晶)が生成されるからです。
練り続けると固まらない理由は、生成された結晶が安定する前に砕かれ続けるからです。モルタルやコンクリートを練る際には、セメントは砂や砂利の接着剤として作用します。

このようにセメントと水の化学反応により、結晶が大きくなって隙間を埋めていきます。
そのため、「水が乾いたらコンクリートが固まる」わけではなく、「水が乾く頃にはコンクリートが固まっている」の認識の方があっているのではないでしょうか。
水分が多い方がコンクリートは固まる?
コンクリートを硬化させるには、水が必要ということがわかりました。
ただし、水の割合が多すぎると全体の体積が増えてしまいます。そうすると結果的に、コンクリートの中身は結晶だらけのスカスカ…脆いコンクリートになってしまうのです。
しかし、セメントが結晶を作るためには水が必要で、水がなければ固まらなくなることも事実です。ですので、コンクリートを打設したあとは急激な乾燥などを防ぎ、一定期間は湿潤状態に保つ方がコンクリートの強度を出せるということになります。
コンクリートを打設して固まり始めた頃に雨が降ると「ぐしゃぐしゃに柔らかくなってしまうのではないか?」と思われる方もいるのですが、実はその逆。軽い雨が降るのはコンクリートにとっていいことなんですね。
ただ、化学反応で生成される結晶の量にも当然限界があり、練り混ぜるときにはそれぞれ適正な割合で配合する必要があるというわけです。
結晶を生成する化合物が多くなるわけですから、より密度が高くなり固くなります。セメントの収縮によるひび割れの可能性はあがるものの、硬いモルタルを作りたいときなんかはセメントを多めにするといいですね。
ただ、何事にも限度というものがありますし、水が少ないと硬すぎて全然練れないので注意ですよ!
さいごに
セメントは水に反応する時、化学反応によって熱を発生させています。
全身にセメントを被って水浴びをしたら火傷してしまうほどだそうですが、普通に施工していて「アチチ!」となるわけではありません。
また、コンクリートが80%ほど硬化するまでに1ヶ月程度かかります。1,2日で固まったように見えている状態は、最終強度の20%程度しかないんですよね。ちなみに車が乗っても平気な強度になるまで、大体7日~10日とされています。
コンクリートの性質は奥深いですね。